
第3問
正解!!
左のぐるりと樹皮を取られた木が枯れます。樹皮の内側は、木が生きる上でなくてはならない大切な部分なのです。
反対に空洞でも回りと葉さえあれば、太くなることもできます。ただ、折れるというリスクがあります。
解説
ほとんどの人は、「根から栄養を吸い、上に持っていく」しかイメージを持ってないのですが、第一問の葉で作っているごはん(糖など)は、葉からざっくり下へ運ばれます。この上から下へのイメージを持ってもらえれば、すごく木の状態がわかるようになります。根からは体を形づくる無機養分、葉からは養分が得られます。
木の材で生きている細胞は、形成層、篩部組織と放射組織で、まんなかの色が変わっている心材部分は、死んだ細胞で、ほぼ使われません。皮の内側の形成層や篩部組織をぐるりと取られてしまうと、上からの養分が下へ運ばれなくなり、枯れてしまうのです。
下からの水も新しい年輪の導管を使う木が多いので、新しい年輪も削られてしまうと水がはこべなくなります。(ケヤキなどは新しい年輪の導管しか使いません)
ただ、広葉樹の場合(↑オニグルミ)はもう一つの生きた部分、放射組織から
樹皮を作ることもあります。(この写真で「なんてかわいそうなことをするんだ!」と怒られたことがあるんですが、この木は切らないといけない木だったので、実験したのでした。6月皮をむき、8月再生でした。)
針葉樹はそういうことができないので、林業では「まきがらし」と言って、木が立ったまま枯らし、下草が一気に生えない作業方法もあります。
あと、空洞になっちゃう木についてですが、「ちゃんと塗布剤を塗らないからだ」というのはちょっと違いまして、
完全に殺菌すると強すぎて、木のほうが参ってしまいます。なので、塗布剤は万能ではないのです。また、菌類の本体の菌糸が内側にいる場合は、外を塗ってもキノコは出てきます。
じゃあどうすんの?と言われると、
そもそも木には菌類を封じ込める機能があって、
導管、年輪、放射組織、形成層で菌を封じ込めるバリアーを作ることができます。
でも、見た感じ、形成層のみで止めている木が多いですね。
だから、
葉をまったく残さない。こんな切り方をすると、切った時点の形成層で封じ込めるので、それまでの材は放棄しちゃいます。
なのでこんな断幹したら、そこは腐るの確定。腐るのは10-20年後ですが、長い長い時限爆弾のスイッチを押したようなものです。太くなってバッサリ切るのは、いろいろやっかいなのです。
これはイチョウですが、この穴の太さの時に、枝分かれした高さで切られたんだと思います。
解説なんだか、横道なんだか、長くてすいません。
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